1.環境省では、ナッジ(英語nudge:そっと後押しする)やブースト(英語boost:ぐっと後押しする)を始めとする行動科学の知見を活用してライフスタイルの自発的な変革を創出する新たな政策手法を検証するとともに、産学政官民連携・関係府省等連携のオールジャパンの体制による日本版ナッジ・ユニットBEST(Behavioral Sciences Team)の事務局を務めています。
2.この度、「低炭素型の行動変容を促す情報発信(ナッジ)による家庭等の自発的対策推進事業」において平成29年度から令和2年度まで実証実験を実施し、効果を定量的に明らかにした「新学習指導要領に対応した小学校・中学校・高等学校向け省エネ教育プログラム」が、令和5年度より神奈川県秦野市及び東京都昭島市において正式に導入されたことについてお知らせします。
3.環境省では今後も引き続き、頑健な効果検証の手法により得られた、因果関係の確からしい科学的知見等の客観的な証拠に基づく政策の社会実装を推進します。
■社会実装された取組
■社会実装された場所
・東京都昭島市内の公立小学校3校
■社会実装の開始時期
■社会実装された取組の特徴
・教育後に各世帯平均で5.1%のCO2削減効果(電気・ガスの合計)。
・教育後に環境配慮行動を実践できていた生徒・児童の95.1%において、教育後1年後においても環境配慮行動が持続。
・最新の行動科学の知見として、気付きを与えて自発的な行動を促すナッジ(行動の結果の見える化やフィードバック、コミットメント等)や行動変容ステージモデル、アクティブ・ラーニング等の手法を活用。
・全国の小学校・中学校・高等学校・大学から合計84校9,899名の児童・生徒に参加協力・受講いただいて実証実験を実施。
・受講した生徒・児童の感想から、日々の暮らしの中での環境配慮が、健康面や経済面等に対しても良い影響があることを実感できるプログラムとなっている。
・保護者の感想から、受講した生徒・児童のみならず、保護者等家族に対しても環境意識の醸成や環境配慮への理解が伝播する様子が伺えた。
・令和5年度に秦野市において実施した結果、暮らしの中で環境配慮行動を実践している小・中学生の割合が教育後に81.5%に向上(教育前と比較して19.2%ポイント上昇)。今後の生活で省エネにより取り組めるように生活を変えていきたいと考える小・中学生の割合は81.4%であった。また、子どもが家庭で省エネ行動をするきっかけになったと考える保護者の割合は87.3%であった。
■社会実装に当たり活用した支援等
■実証実験の際の実施事業者等
・株式会社住環境計画研究所
・東京ガス株式会社
・開隆堂出版株式会社(開発したテキストを教材として出版)
■実証実験の実施期間
■関連する報道発表等
https://www.tokyo-gas.co.jp/news/press/20210422-01.html
(令和3年4月22日付け東京ガス株式会社、株式会社住環境計画研究所発表)・秦野市公立小中学校へのナッジ理論を活用した「省エネ教育プログラム」の実施について
https://www.tokyo-gas.co.jp/news/topics/20230728-01.html
(令和5年7月28日付け東京ガス株式会社発表)
・昭島市公立小学校へのナッジ理論を活用した「省エネ教育プログラム」の実施について
https://www.tokyo-gas.co.jp/news/topics/20230926-01.html
(令和5年9月26日付け東京ガス株式会社発表)
・第17回キッズデザイン賞「奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞」受賞!◆家庭でのCO2排出量を5%削減した「省エネ教育プログラム」
https://www.tokyo-gas.co.jp/letter/2023/20231012.html
(令和5年10月12日付け東京ガス株式会社発表)
・効果定量型「省エネ教育プログラム」が始動します
https://www.city.hadano.kanagawa.jp/www/contents/1690502852533/index.html
(令和5年11月10日付け秦野市発表)
・ナッジ理論を活用した省エネ教育プログラムを実施しました
https://www.city.akishima.lg.jp/s068/020/010/010/040/320/20230825131916.html
(令和6年3月5日付け東京都昭島市発表)
・脱炭素・SDGs推進 省エネ教育プログラム サステナッジ教育(YouTube東京ガス公式チャンネル)
https://www.youtube.com/watch?v=yFBSz1xhl6E
■(参考1)「環境省ナッジ事業の結果について」(令和4年7月22日付け報道発表)
本報道発表で紹介をしている「新学習指導要領に対応した小学校・中学校・高等学校向け省エネ教育プログラム」に関する実証実験の結果についてお知らせをしました。
■(参考2)日本版ナッジ・ユニットBESTについて
日本版ナッジ・ユニットBEST(Behavioral Sciences Team)は、関係府省庁や地方公共団体、産業界や有識者等から成る産学政官民連携のオールジャパンの取組です(事務局:環境省)。ナッジ(英語nudge:そっと後押しする)やブースト(英語boost:ぐっと後押しする)を始めとする行動科学の知見(行動インサイト)に基づく取組が政策として、また、民間に早期に社会実装され、自立的に普及することを目的に、環境省のイニシアチブの下、2017年4月に発足しました。その後、同年10月のノーベル経済学賞の受賞分野が行動経済学であったことの後押しもあり、取組が深化し、連携体制が次第に強化されています。どのような取組も、地域に根付くものとするためには、関係するあらゆるステークホルダーを巻き込んでいくことが必要不可欠です。このため、行政内に限った取組ではなく、参加者が同じ立場で自由に議論のできるオールジャパンの実施体制としています。 ○日本版ナッジ・ユニットBEST のウェブサイト(会議資料、報道発表等)
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge.html
○平成29・30年度年次報告書(日本版ナッジ・ユニットBEST活動報告書)
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/report1.pdf
○報告書「ナッジとEBPM~環境省ナッジ事業を題材とした実践から好循環へ~
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/EBPM.pdf
○ナッジ等の行動インサイトの活用に関わる倫理チェックリスト ①調査・研究編
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/checklist_study.pdf
○ナッジ等の行動インサイトの活用に関わる倫理チェックリスト ②社会実装編
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/checklist_deploy.pdf
○我が国におけるナッジ・ブースト等の行動インサイトの活用の広がりについて
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/hirogari.pdf