今年も残すところあと1か月を切りました。
振り返ってみると、今年の夏はまさに“記録的な暑さ”でした。
気象庁によると、日本の北・東・西の地域で、6月と7月の気温、そして夏全体の気温が 1946年の観測開始以降、最も高くなりました。さらに、日本の夏平均気温偏差は+2.36℃と、昨年や一昨年の記録である+1.76℃を大きく上回り、1898年の統計開始以来、3年連続で最も暑い夏となったことになります。
※「平均気温偏差」とは、その期間の平均気温が“平年”と比べてどれほど高いまたは低いかを示す指標。
気象庁:2025年夏の記録的高温の要因とは?~気象庁異常気象分析検討会による分析結果の概要~
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こうした異常気象の背景には、気象庁の分析が示す通り、地球温暖化の進行があります。
では、私たちは“地球全体の変化”をどうとらえればよいのでしょうか。
そのヒントを与えてくれるのが、宇宙から温室効果ガスを観測する日本の人工衛星 「いぶき(GOSAT)」シリーズ の観測データです。「いぶき(GOSAT)」は地球の大気中に、二酸化炭素(CO₂)やメタン(CH₄)といった温室効果ガスがどれだけあるかを宇宙から観測しています。
10年前と5年前のデータを比べてみました。(JAXA(宇宙航空研究開発機構)/NIES(国立環境研究所)/MOE(環境省) が提供したデータ使用)
大気全層の月平均 CO₂ 濃度( trend (ppm))
<2015年> <2020年> <2025年>
1月 397.66 1月 410.17 1月 422.98
2月 397.83 2月 410.36 2月 423.19
3月 398.01 3月 410.55 3月 423.40
4月 398.21 4月 410.75 4月 423.61
5月 398.41 5月 410.94 5月 423.81
6月 398.62 6月 411.14 6月 424.01
7月 398.85 7月 411.35 7月 424.20
8月 399.08 8月 411.55 8月 424.39
9月 399.32 9月 411.76 9月 424.58
10月 399.57 10月 411.96
11月 399.83 11月 412.17
12月 400.09 12月 412.38
(データ出典:Provided by JAXA/NIES/MOE)
*「いぶき」の観測データはGOSAT PROJECTホームページ内の関連資料等からダウンロード
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こうしてみると、じわじわと二酸化炭素(CO₂)濃度が高くなっていることが分かります。1月を例にとって10年前と現在を比較してみると、397.66ppmから422.98ppmに上昇しています。(産業革命前は約280ppm)
では、なぜ二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスが増えると温暖化が進むのでしょうか。
それは温室効果ガスは地球の熱を閉じ込める「毛布」のような役割を持っているためです。
産業革命以降、少しずつ毛布が厚くなっていっているイメージです。太陽からの光は地表で熱に変わりますが、毛布が厚くなるほど熱が宇宙へ逃げにくくなり、地球全体が少しずつ暖まっていきます。
さらに、北極や南極の雪や氷は太陽光を反射して熱を宇宙へ跳ね返していますが、温暖化で雪や氷が溶けて地表が現れると太陽光の反射率が下がります。すると海や陸がさらに熱を吸収して温暖化が加速するという連鎖も起きています。
人工衛星「いぶき」のデータは、単なる数値ではなく、地球温暖化の進行状況を示す大切な“警告”です。私たちはこの情報をもとに、二酸化炭素の排出削減や再生可能エネルギーの活用など、未来に向けた行動を考えることが求められています。
【参考】
◆地球の呼吸を継続観測する「GOSATシリーズ」 JAXA(宇宙航空研究開発機構)
https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/news/2025/07/25/11226/index.html?utm_source=chatgpt.com
◆気候変動の科学的知見 環境省
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/knowledge.html
◆気候科学者・江守正多さんに聞く「41.8℃の真実。地球はどうなっている?」ELEMINIST







